〇個性:★★★☆☆ 静寂の中ぽこぽこ開いたやぐら!
〇一言紹介:やぐらと摩崖仏がコンパクトにまとまった観音堂です。
あまり知られていない地を訪れるのってなんだかわくわくする。A級観光地よりもB級を好む反権威主義的なロマンチシズムを抱える人におすすめ、富津市の数馬区にある岩谷観音堂。
公の管理者もおらず地元民の有志で管理しているというこちらの場所はコンパクトながらも全14窟の横穴式古墳・やぐら(※)からなり、仁王像などの摩崖仏が彫られている味わい深いスポット。
※やぐら=鎌倉~室町時代の武士階級のお墓
日本全国によくある、その場所だけで全国の霊場を回ったのと同じ御利益を得られる系スポットですね。今でこそひっそりと佇んでいますが上総国札三十三番の札所であり由緒正しい場所です。
比較的新しいきれいな達筆の看板があります。
わかんねぇ
大通りからちょっと入った場所。
ここを目指していかないとなかなか気付きづらい場所です。
東大寺の大仏建立にも貢献した奈良時代の行動するカリスマ僧侶、行基が一晩で作ったとの伝説も立て看板に書かれていますが、、奈良時代からやぐらの登場する鎌倉時代まで時間の隔たりがあるので長い年月をかけて人の手が加わっていったんじゃないかなって思います。
さ、登るか
桜(桃?)がちらほらあるので春満開の時は結構きれいだと思います。
すぐ現れる本尊
本尊は十一面観音菩薩のお寺。
12年に一度丑年に内部が御開帳されるそうです。(次は2021年)
さてこちらが横穴式の古墳・やぐら達。
地元の方が滑りやすいからと手すりなどをつけてくれているので何となく古代のアパート感がじわじわと来ます。
『人一人寝っ転がれそうな穴』から『ここで生活できるじゃんな穴』も多々ありますよ。
都心の公園とかにあったら誰か寝てそう
内部には摩崖仏が彫られたり石像が置かれたりしています。抽象画で描かれている摩崖仏を見ると古代から今にかけて長い年月を越えてきた存在なんだなあって思います。
全体感を映すとこんな感じ。
かなりコンパクトにまとまっているので急いで見学しようとしたら10分くらいで見て回れちゃいますね。
さて歴史的価値の観点ではなく、今そこにある珍スポットとしてみると一番の見どころは観音堂の背後にコの字に続く第2窟の回廊でしょう。
内部はもちろん真っ暗ですが、洞窟内の壁にはずらりと仁王像、千手菩薩など約70体ほどの摩崖仏が彫られています。
賽銭入れてGo!
こちら入口に佇む仁王像らしき摩崖仏。洞窟内部なので雨風に強くさらされる事もないはずですがのっぺらぼうに風化している御姿を見る限り長い月日を感じさせられます。
ずらーっと。フラッシュたいてるので明るいですが実際は真っ暗です。
初めはコの字って知らずに入ったのでちょっと怖かったです。
両面の摩崖仏を見つめ、見つめられしながら歩くと不思議を浮世から切り離されたような不思議な感覚に陥ります。壁に向かってコツコツと摩崖仏を掘り続けた心持はいかなるものか、想いを馳せるにいとまがありません。
曲がったらすぐ出口
足元かどこかにあった三猿
こういう霊場をまとめたスポットに行く度に昔の人々の信仰心の強さと、それに応えるべくコンパクトスポットを作る熱い情熱に感動します。
岩谷観音は真面目に応えている感じですが、高鍋大師みたいに方向性がズレたところも微笑ましくて大好きですね。
第二窟から出たら階段に登って各部屋を覗いたりしてしっかりと世界観を堪能しましょう。一昔前までは植物に覆われて散策しづらかったようですが、今では地元の有志で改修・整備が行われてとても綺麗な状態に保たれています。
手すりないとまじで滑る
これが『ここで生活できるじゃん』的な場所。本当に広い。摩崖仏はもう壁と化してきているので興味を持てたら早めに見に行った方がいいかもしれませんね。
中で寝てる人いそうとか言いましたけど薄っすらと見える摩崖仏は寝起きで見るとひぃってなりそうな気がします。
観音堂に向かって右側の洞窟にはくつろげるようにって地元民の方が机とイスを置いてくれてあります。けっこういいやつですね。 お言葉に甘えて寛いでいきましょう。
岩谷観音は素敵な観光地なのに知られていないのはもったいない!とは思う一方、静寂の中に包まれて落ち着いて摩崖仏を愛でられる空間はずっと続いて欲しいととも思います。
千葉観光の隙間時間にぜひお静かに足を運んでみてくださいまし。
●岩谷観音堂やぐら群
住所:千葉県富津市数馬
時間:-
参考URL:-