〇個性:★★★☆☆ 現代に残る祟りの場!
〇一言紹介:南九州に散見される原始宗教の痕跡です。
鹿児島県の先っぽ、指宿市に上西園のモイドンと呼ばれる空間があります。
言っといてなんですけど特に何にもない場所です。
そして安心してください。別に祟られません。
いきなりタイトル詐欺(; ・`д・´)
近くにあるお菓子工場
私たちが無意識にお参りに行く神社はいつからあるのでしょう。
けっこう田舎の神社とかって成立時不明ってところ多いですよね。あれって建物がいつ建てられたか分からないというよりかは、『いつからそこが神様がいる場所として祀られるようになったか分からない』というところがけっこう多いそうです。
現代では依代(=神様宿るもの)はだいたい鏡ですが、立派なお社ができる前はでっかい石とか巨木が依代として信仰の対象となっていたみたいですね。
神道という言葉が出てくる前から地域に一つくらい依代があって、そこで神様に日々の生活の悩みを聞いてもらったり、感謝したりしていたんだろうなって思います。
ここ指宿市にあるモイドンとはその依代がある周辺の空間を指します。″森殿”と書いて″モイドン″ですね。今では薄れつつありますがその昔、依代を中心にその周辺を神様の領域として不可侵の空間として信仰していました。
木に触れれば祟る、足を踏み入れても祟る・・とか怖い話もありますが地域の方が大切にしてきた場所であることの裏返しなんだろうなって個人的には思います。
南九州、特に指宿市にこの原始宗教の場であるモイドンが散見され、その中でも特に有名なのが今回の上西園(かみにしぞの)のモイドンです。
これが上西園のモイドンの依代
なかなかおどろおどろしいですネ。上西園のモイドンの依代はアコウの木。見た目かなりやばい木ですがこれが普通の姿です。危険が接近したらはもっとやべぇ見た目になります。うそです。
祟りません・・よね?
どこのモイドンもそうですがそこが信仰の場と知らないと全く分かりません。そのくらい生活に溶け込んだ風景になってます。(さすがに熱帯のアコウの樹が依代だと異形なので県外民からすると異景感出て気づきますが・・)
上西園のモイドンもすぐ隣に民家があってビニールハウスの隣の小道進んで神域へたどり着きます。
近づいてみた。
モイドンに関してふんわりと調べて行ったので、この時は祟られないようにお守りを握りしめて向かったヨ。あとからよく考えたら交通安全のお守りやったけど
でっか
幹回りは約2m。
木の根元にしめ縄があるの分かりますか?
間近で見るとかなり新しいぷち神殿でした。原始宗教と言いましたがこの辺りではまだ廃れずに信仰が残ってるんですね。
たぶん地元の子が悪さしたら夜中に連れてこられたりするんだろうな。
コダマとか住んでそう
神社でお参りする時、良く思うんですけどお願い事ってだいたい恋愛成就とか宝くじ当たってくれぇとか身近な事ですよね。
変に世界平和とか願ったりせずに、日常の面倒事を見てもらう身の丈にあった存在が日本人にとっての神様だとしたら、こういった場所から我々の精神が育まれて来たのかなって思います。
比較的新しめの祠もありました。
初めに言った通りモイドンがあって、依代にでっかい樹があります!終了!・・な場所ですね。笑
ただ、この目に見えない歴史の流れにあれこれを思考を巡らしてロマンチズムのエクスタシーを感じるにはけっこう壮大なスケールの場所ですよ。
このために行かなくてもいいけど指宿行った時にはぜひ訪れて欲しいなって思います。
2019年10月18日訪問
●上西園のモイドン
住所:鹿児島県指宿市東方2295 の近く
時間:-
参考URL:上西園のモイドン | 日本伝承大鑑